パンヘッドから、何が進化したのか。
1966年のショベルヘッドで大きく変わったのは、エンジン上部です。シリンダーヘッドとロッカーまわりを刷新し、ハーレーの公式資料も、パンヘッドからの主な進化として出力の向上を挙げています。一方、初期のショベルは74ciの排気量と、エンジン前方のギア駆動式ジェネレーターを引き継ぎました。
形の違いは、ロッカーアームの支え方にある
どちらもプッシュロッドでバルブを動かすOHVです。パンヘッドでは、鍋を伏せたようなカバーの下にロッカー機構があります。ショベルヘッドでは、ロッカーアームの軸をロッカーボックスで支える構造になりました。ヘッド上に見えるスコップ状の輪郭は、この構造の違いから生まれています。
実車で見る、3世代のエンジン

ヘッド上部には、鍋を伏せたような丸みのあるカバー。

上部はショベル形のロッカーボックス。右下にはパンヘッドの流れをくむギアカバー。

上部はショベル形を継承。右下には丸い点火カバーが見える。
| 見る場所 | 最終期パン | アーリー | レイト |
|---|---|---|---|
| ヘッド上部 | 鍋形のカバー | スコップ形のロッカーボックス | ショベル形状を継承 |
| 発電機 | 前方にジェネレーター | 前方にジェネレーター | 左側にオルタネーター |
| 純正排気量 | 74ci | 74ci | 74ci/後年に80ci追加 |
モデル年式で追う、主な変更
- 1966年
- ショベルヘッド登場。
- 1970年
- コーンショベルへ移行。
- 1973年
- オイル系統を変更。ケース、ギアカバー、オイルポンプにも変更が入る。
- 1978年途中
- 約1,340ccの80ci仕様が登場。
- 1984年
- ショベルヘッド最終年。ここではビッグツインの純正モデル年式を基準に比較する。
実車では、エンジンの右下を見る。
前方の発電機が目印のアーリーは、海外では「Generator Shovel」とも呼ばれます。レイトの「コーンショベル」という呼び名は、右下に張り出したカバーに由来します。


実車を右側から比較。どちらも車体前方は写真の右です。
発電機が左に移り、エンジンの下半分が変わった。
アーリーでは、クランクケース前方に付いた直流ジェネレーターをギアで回して発電する。1970年モデルでは、その外付けの発電機がなくなり、クランクシャフト左端のプライマリー側にローターとステーターが収まった。発電機の取り付け位置と駆動方法が変わり、ケース前側の形も変わった。

写真の左が車体前方。前シリンダーの下、ペダルの奥にフィン付きの端部が見える。

写真はリプレイスメントパーツのジェネレーターです。この筒状の部品はアーリーショベルにあり、レイトショベルにはありません。
オルタネーター化で、何が良くなった?
発電機をエンジン前に張り出させずに収められ、発電機を回すための専用ギアも不要になった。さらに、直流ジェネレーターで摩耗するブラシと整流子がなくなり、その点検や交換の手間が減った。オルタネーターが作る交流は、レギュレーターで整流・電圧調整され、バッテリーを充電する。
点火機構と、充電系の点検箇所
| 見る場所 | アーリー | レイト |
|---|---|---|
| 点火機構 | ケース右前方の縦型タイマー | 右側カムカバーのコーン部 |
| 整備で見る箇所 | ブラシ、整流子、レギュレーター、配線 | ステーター、レギュレーター、コネクターやアース |
純正の点火方式は年式によって変わり、後から電子点火に交換されている車両もある。レイトの丸いカバーが見えても、その中がポイント式か電子式かは外からは分からない。
中古車を見るなら、オルタネーター式でも、実際に充電できているかは現車で確かめたい。レギュレーターや配線の状態、後から変更された部品によっても変わるので、充電電圧を測った結果を販売店に聞いてみよう。
コーンショベルなら、全部1340?
74ciは約1,200cc。80ciは約1,340cc。レイトには両方の排気量があり、コーンの形だけでは判別できません。中古車の排気量を確認するなら、モデル年式と整備記録を照らし合わせ、ボアアップなどの変更歴も聞いてみよう。
純正ショベルは、リアサスペンション付き。
ショベルヘッド搭載のハーレーは、アーリーもレイトも、工場出荷時はリアサスペンション付きのフレームです。純正のリジッドフレーム仕様はありません。
リアサスペンションのない「リジッドショベル」は、ショベルヘッドのエンジンをリジッドフレームに載せ替えたり、既存のフレームをリジッド化したりして作られたカスタム車両です。エンジンがアーリーかレイトかと、フレームが純正かカスタムかは、それぞれ別の話です。

スイングアームが動き、斜めに付いたコイルスプリング付きのショックが上下の動きを受け止めます。

上下のフレームパイプが後輪の軸まで伸び、後輪を固定します。
アーリーショベルとレイトショベルの価格差
アーリーショベルの製造期間は1966〜1969年の4年間。レイトに比べて流通台数が少なく、その希少性が価格にも表れます。
BARNFINDでの価格感では、アーリーはレイトの約1.5倍から2倍近くになることもあります。
実際の価格は車両ごとに異なります。 純正部品の残り具合、エンジンや車体の状態、整備内容、カスタムの仕様によって変わります。
まとめ|ショベルヘッドは、上と下を分けて見る。
- ヘッド上部を見ると、パンヘッドからショベルヘッドへの変化が分かります。
- エンジン下部を見ると、前方に発電機があるアーリーと、右下にコーンが張り出すレイトを見分けられます。
- 購入前には、排気量やフレームの仕様、載せ替えやカスタムの履歴を現車と記録で確認しましょう。
BARNFIND掲載車両で見比べる
アーリーとコーンの実例を3台選びました。車両ごとの写真と仕様は、各詳細ページでご覧いただけます。




